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廻る、廻る、世界は廻る。クルリクルリと、狂り狂りと。
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お題―ミカン―

 橙色に輝く太陽の下で
 橙色に輝く甘い果実

 雨を 風をしのぎ
 長きに渡って 時間を掛けて
 甘い甘い実を授かった
 一粒に込められた思い
 それが今 私の手元にある

 
 私は炬燵さんのことが好きよ
 でも 炬燵さんと私は釣り合わない
 だって炬燵さんは主役 私は脇役
 相容れない関係にある私たち
 人間も炬燵は耐久消費財として扱うけれど
 私は食べられてしまえばそれでお終い
 今年は仲間も少ないし 不作だった
 仲間が少ないと私が炬燵さんの上にいられる時間が短くなるもの
 あぁ 私は永遠に炬燵さんと一緒にいたいのに
 時は無情にも過ぎてしまう
 神様 私にもあの暖かさを下さい

 
 蜜柑さんはとても優しい
 僕たちは何時までも一緒だ
 だって一つの蜜柑さんがいなくなっても
 まだ他の蜜柑さんがいる
 そのお陰で僕は退屈しないですむ
 僕の中で人間が騒ごうと 僕はいつも笑っていられる
 たまに腐った蜜柑さんが乗っかってる時はちょっと嫌だけど
 でも蜜柑さんがいれば僕は幸せだ
 あぁ 僕は永遠に蜜柑さんと一緒にいられるのかなぁ
 時は無情にも過ぎてしまう
 蜜柑さんは食べてもらえるけど
 僕は使えなくなったらお払い箱だ
 人間 僕を最後まで使ってくれないか


 人間に似ている
 互いに想いは違えど
 重なる部分はある
 それが摂理 それが全て 
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 朱だけが渦巻いている
 古びた屋敷の中で
 鶏の 豚の 牛の 或いは人の
 血が叫び骨が呻いているようだ
 泣き叫ぶ死した魂たち
 血に染まるテーブルクロスからは
 致死量ほどの血液が流れ落ちていた
 刹那 轟音と共にコウモリが飛び立つ
 十字架は朽ち 錆の臭いが充満する
 落雷 青白い閃光が視界を閉ざす
 霊媒師 翻弄され朱く生涯を閉じ
 吸血鬼 魅了され朱に自ら落ちる
 
 朱 さっきよりも淀んでいる
 冷気を孕んだ大気が背筋を凍らせる
 葬儀屋 棺は砕け粉塵と化す
 十字架など意味無く 呑まれる
 魔術師 白いグローブをつけ
 朱く張り裂けそうなテーブルクロスを
 両手で引き抜いた
 魂は浮遊 血液は霧散
 
 魔術師は 微笑んだ

 「魂を一つ、頂いて行きますよ。魔王」

 瓶を取り出すと 魂を掴みその中へ封じた
 背を向けて歩き出すと
 テーブルクロスは先ほどと変わらぬように
 またテーブルの上へと戻り
 血液も骨も一つを除いた魂も
 巻き戻すように戻っていった

 屋敷からはまた 叫び声が響く

 お題―鈴―

 僕の首には小さな鈴がついている
 でも僕は自由だ
 猫はどう扱われようとも 自由だ
 
 僕の主人は赤い服を着たお嬢さん
 君は屋敷から出れない
 友達を家に連れてくることもあまり無い
  
 君はよく僕に話しかけてくれる
 僕は嬉しいけど 君は悲しそうだ
 君が悲しいと自然と僕も悲しくなる
 
 君はよく咳をする 辛そうだ
 僕は君に寄り添って見守っているけど
 君の母親が来ると鬱陶しそうに睨まれる
 
 ある晴れた日のことだった
 朝起きた僕はいつも通り君のところへ行った
 そこに君の姿は無かった
 僕は君を探しに一階へと降りていった
 
 いつもふかふかのベッドで寝ている君
 木で出来た函の中には君が眠っていた
 安らかに眠った君の隣では昨日の母親が泣いていた
 僕はあの母親が嫌いだったけどその泣き顔に嘘は無かった
 
 「死んだんだ」
 僕の頭の中をその言葉がよぎった
 その瞬間 僕は大きな声で叫んだ
 誰にも理解出来なくても 僕はとにかく叫んだ
 母親も今日は僕のことなんか気にせず 泣いた
  
 君が外で友達をつくって一緒に遊ぶことも出来ず
 一人で泣いていたことは僕しか知らない
 可哀相だと思ったし 今もその気持ちは変わらないけど
 母親にも母親なりの考えがあったんだね
 あぁ ただのエゴだよ 大人からのね

 僕が君に残せたモノはあったかな
 君にとっての思い出は僕だけだったかもしれない
 でも僕は君と生きていられて幸せだったよ
 最後にこの鈴を君にあげるよ
 
 だからさ せめてもう一度起きあがって
 
 この首輪をとってくれよ 

お題―赤色―
 
 少年は赤が嫌いだ
 ヒーローの中心はいつだって赤い人だよ
 僕みたいに背が低くて体が弱い子供には手の届かない存在だよ

 少年は現実を見ていた
 赤を基調とした蜘蛛のような格好をした奴も
 変身すると五色揃って敵を倒すような奴も
 三分間だけ巨大化して怪獣を倒すような奴も
 信じていなかった

 赤い炎
 赤い血液
 赤い眼
 赤い憎しみ

 少年は赤が嫌いだ
 嫌な思い出だけがフラッシュバックする
 ヒーロー以前に災いの色だ
 僕みたいな勇気の無い子供には悪影響を及ぼすだけだよ

 ところが
 
 少年は空を見上げていた
 真っ赤な空を 大嫌いな空を
 今まで赤い色からは目を背けてきた
 そう 俯いて生きてきた
 こんなに綺麗な赤色もあることに気付きもしなかった
 
 赤い青春
 赤い薔薇
 赤い太陽
 赤い夕焼

 少年は眼に希望の炎を灯した
 これからは赤い色とも仲良くやっていけるかな
 
 そう 心に 
 
 大嫌いな 大好きな赤色を

 真っ赤に燃え上がらせて
 

お題―倒れた椿―

 倒れた人 赤い血
 倒れた会社 赤い数字
 崩れた夢 赤い視界
 崩れた膝 赤い道程

 離別したと思うと 涙が溢れてくる
 決別したと思うと 力が湧いてくる

 ジョウロの水は枯渇した
 赤い花はもうじき枯れるだろう
 僕がその場の気持ちで君を植えたから
 君はもうじき息絶えてしまう
 
 命は重い
 でも 軽く扱うことが出来る
 強度が解らないから
 扱い方も解らない
 
 涙が溢れる
 たった一人の友達
 赤い花 僕の夢
 赤く輝き 赤く散っていくその花は
 僕を慰めるかのように揺れた
 
 雨 全てを濡らし 過ぎていく
 空は陰り 人々は憂鬱に浸る
 でも僕にとってそれは命だった
 花は水を浴びて いっそう深紅に
 ジョウロもポトポトと水を溜めている
 
 相変わらず僕の眼からは涙が零れる
 でもさっきとは変わった涙だ
 あの花のように生きる
 それが僕の夢だから
 
 すっかり晴れた空を見上げる
 ふと 口からこぼれた
 "赤く輝き 赤く散る"
 
 
 

お題―古雑誌の行く先―

 幼少期 大好きだった絵本がある
 幼稚な絵の中では人間と動物が一緒に遊んでいる
 漢字など一つもなく 昼はよく一人でそれを読んでいた
 夜は寝床で母が読んでくれた それが子守歌だった
 
 だがその本はいつの間にか僕の部屋から消えた
 母も僕の寝床へは入ってこなくなり僕は一人で寝た
 今では文字ばかりが並べられた小説を読んでいる
 僕の頭にその本のことはもう無かった

 大人になり 心は渇き荒んでいた
 都会の冷たい空気に吹かれながら歩いていると
 寂れた古本屋を見つけた
 「経営難だな」と思いながらも何故かそっちの方へ足が向かう
 入ってみると やはりそこには店長しかいなかった
 そう 不思議な雰囲気を醸し出す店長しか・・・
 「よく来たね 君に今、必要な本はこれじゃないかい?」
 いきなりそう言われとまどったが 差し出された本を受け取った
 「!!!」
 そう その本は幼き日の思い出が詰まったあの本だったのだ
 裏返してみると そこには確かに子供の頃に書いた自分にしか解らない名前が書いてあった
 「これを・・・どこで?」
 店長はなんのことはないと言った様子で
 「持って行きな。金は要らないよ」
 とだけ口にした
 
 店を出た僕は 心の中に潤いを感じた
 大人になった今でもこの本は私の中に響いたのだ
 都会の曇り空を眺めながら 僕は家路についた
 「明日も あの店へ行こう」
 
 あの古本屋に隠された秘密も知らずに
 
お題―未来―

 10年後 僕は何をしているだろう
 
 職に就き会社で忙しく働いているか
 何もせず退屈な日々を送っているか
 大きな事業を成功させて遊んでいるか
 すでに死んでいるか

 いくら考えたところで一つの結論には辿り着かない
 1年後の今ですら何をしているか分からないのに
 でも1秒先は見通せる そこから始まる次があるから
 一瞬一瞬の積み重ねで いつかは
 その一年後も一瞬の一部になる
 
 だからその時まで 自分の歩を緩めることなく
 一定の速度で向かっていこう 僕たちの明日へ

 10年後の明日へ
お題―黒―

 其れは死の具象化 魂の解放
 其れは滅の視覚化 身体の救済
 其れは無の具現化 精神の崩壊
 其れは我の初期化 零への予兆

 恐れろ 退屈な日々を
 怖れろ 無駄な人生を
 畏れろ 生きている今を
 懼れろ 他人との繋がりを
 
 オソレロ

 ただ其処にある その総てを司る印
 色褪せる価値観 幻想と幻影の境目
 光に惑わされ 夢と現を徘徊する使者
 照りつける太陽が凍っている 夏の夜
 
 歩け

 自分への命令 他人への不信感
 唯一人 黒い紋を背負って
 がらくただらけの毎日を 僕はただ歩く
 
 反転する世界 逆転する発想
 誰かの言葉 『大切なのは結果だ』
 思想も瞑想も要らない
 必要なのは
 生きるという過程では無く 死ぬという結果
お題―傘―

 カランコロン 下駄がなる
 私の心が高鳴るように 芯まで響く花火のように
 激しい音 通り雨
 凍てつく心を透かしたように 身悶え震える私のように
 
 少女は歩く 商店街
 雨の中 人はおらず
 人でないものの気配と 
 黒猫の視線を背中に感じながら
 カランコロンと下駄をならして
 沢山の店に目もくれず
 母の待つ家へと急いだ
 
 憂鬱 

 心の中に響いた 悲しき旋律
 雨は嫌いだ でも晴れも嫌いだ
 いつも晴れていると其れは鬱陶しい
 たまに曇っても其れも鬱陶しい
 やり場のない気持ち どうすればいい
 
 円錐形の光が差し込んだ
 
 雲間から覗く太陽が 笑いかけている
 鬱陶しい 心からそう思った
 また晴れの日が続くのかな そう思った

 でも

 嬉しくもあった 太陽の光が 
 その暖かさが私の心を溶かしていく
 
 心地よかった
 私の差す唐傘から滴り輝く水滴が
 私の下駄を濡らしていく雨水が
 私の心を攫っていく円錐形の光が
 全て美しく見えた 広がってみえた
 
 私は自分が分からなかったのかな。

 少女は母の待つ家へと これからの新たな日々へと
 鼻歌を歌いながらスキップで帰った
 
お題―飴―

 幼き頃 買ってもらった水飴を 服にこぼして泣いたっけ
  天まで届く大声で 大切な人が死んだかのように
 黄金色に光るその飴が 恋しくて 切なくて
  まるで叶わぬ恋のように 心を奪われ我を忘れ
 
 気付けば手を舐め服を舐め 母は困った顔で笑ってたっけ
  鼈甲にも琥珀にも似たあの飴は 甘く僕の心を溶かして
 天にも昇る気持ちで 至福の一時を過ごしていた
 
 でも今 どの店にも水飴が無い
  あの喜びを忘れ 今、店頭に並ぶのは 機械に作られたものだけ
 あの技 人の真心で作られた菓子
  現代の子供の心には届かず
 人を失った菓子は 喉も通らず 気休めにもならず

 時は経ち 決断の時

 失ってしまった味を もう一度求めて旅立とうと思う
 
 黄金色の空を眺め あの水飴と ダブらせながら
小物






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年齢:
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男性
誕生日:
1992/04/28
職業:
中学生
趣味:
バンド活動
自己紹介:
音楽:
BUMP OF CHICKEN,
ASIAN KUNG-FU GENERATION,
RADWIMPS,
ケツメイシ,
DEPAPEPE

食物:
食べられる物一般

書物:
成田良悟さんの作品,
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