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廻る、廻る、世界は廻る。クルリクルリと、狂り狂りと。
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お題―古雑誌の行く先―

 幼少期 大好きだった絵本がある
 幼稚な絵の中では人間と動物が一緒に遊んでいる
 漢字など一つもなく 昼はよく一人でそれを読んでいた
 夜は寝床で母が読んでくれた それが子守歌だった
 
 だがその本はいつの間にか僕の部屋から消えた
 母も僕の寝床へは入ってこなくなり僕は一人で寝た
 今では文字ばかりが並べられた小説を読んでいる
 僕の頭にその本のことはもう無かった

 大人になり 心は渇き荒んでいた
 都会の冷たい空気に吹かれながら歩いていると
 寂れた古本屋を見つけた
 「経営難だな」と思いながらも何故かそっちの方へ足が向かう
 入ってみると やはりそこには店長しかいなかった
 そう 不思議な雰囲気を醸し出す店長しか・・・
 「よく来たね 君に今、必要な本はこれじゃないかい?」
 いきなりそう言われとまどったが 差し出された本を受け取った
 「!!!」
 そう その本は幼き日の思い出が詰まったあの本だったのだ
 裏返してみると そこには確かに子供の頃に書いた自分にしか解らない名前が書いてあった
 「これを・・・どこで?」
 店長はなんのことはないと言った様子で
 「持って行きな。金は要らないよ」
 とだけ口にした
 
 店を出た僕は 心の中に潤いを感じた
 大人になった今でもこの本は私の中に響いたのだ
 都会の曇り空を眺めながら 僕は家路についた
 「明日も あの店へ行こう」
 
 あの古本屋に隠された秘密も知らずに
 
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温かいですね。
凄い!!本と人の巡りあわせが綺麗ですね。
こういう感じの奇跡みたいな繋がり、大好きです!!
昏色 詩詩 2007/12/16(Sun)11:08:03 編集
無題
子供と大人の境界線がよく分かります…
昔のことを思い出せたこの方は、とても幸運ですね

中々こちらにこれませんでしたが、久々に来ると俺の心も潤いました(´∀`)
鉄線 2007/12/16(Sun)17:31:52 編集
こっそりと泣k・・・
ありがとうございます。
鉄線さんは久しぶりですね。
また逆逓送迄後顧。のほうにもお邪魔させてもらいますので・・・。
阿魂 2007/12/16(Sun)18:15:25 編集
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