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廻る、廻る、世界は廻る。クルリクルリと、狂り狂りと。
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 A shadow toward the sunlightⅡ

 砂漠は未だ終わらない。汗が眼に染みる。
 此処はひたすらに炎天下のようだ。
 一年に一度の"神涙の日"はずっと前に終わった。
 絶対にたどり着けるという意志は遙か彼方で尽き、今はただ、死者のように砂漠を歩いているだけであった。
 何度かオアシスがあったであろう場所を見かけた。其処には少量の水が溜まっていて、実験所を出てすぐの処に落ちていた大量の空き瓶に水を入れて此処まで耐えてきた。
 だがしかし、それももう終わりのようだ。水は尽きた。
 後は、現在体の中にある水分しか残っていない。汗の一粒も無駄にしないようにし、歩いていると、私は極限状態の最後を知った。
 愕然とした。其処に広がっていたのは、樹海だったのだ。砂の山を登った所で、眼前で砂漠を横に一刀両断する緑に多少怖じ気づいたほどだ。
 だが、これはついている。今此処で倒れては、笑いものだ。私は最後の力を振り絞り、日陰に入り、座った。
 (涼しい・・・)
 単純にそう思った。ただ日陰に入るだけでこんなに体感温度が変わるものだろうか。
 眼の焦点が定まっていない。砂漠で反射した日光で目の前に緑のもやが広がる。
 しばらくぼーっとしていた。不意に我に返り、ばっと立ち上がると、あたりに誰かいないかと見回した。
 神経をすり減らしてきただけに、過敏に反応するようになっているのだ。
 「とりあえず・・・行ける所まで行ってみるか」
 
 おそらく30分は歩いただろう。
 先に続くのはひたすら木と草のみだ。
 疲れもピークに達している。空に浮かぶ太陽は大分傾き、月が昇ろうとしている。
 足下に生えているきのこを抜き、手に取った。
 派手な色をした毒々しいきのこだが、これだけ腹が減っていては仕方ない。
 端の方を少し噛んでみた。と、途端にはき出した。
 口の中が酷く痺れる。麻痺作用のあるきのこのようだ。
 (こんな生活続けてたら、胃が強くなるだろうな・・・)
 そんなことを思いながら、さっさとそのきのこを足下に捨てて、他のきのこを一心不乱に探した。
 途中、菜っ葉なども見つけ、沢山摘んで奥に進んでいった。
 
 なにか音がする。和太鼓を連打し続ける音のようだ。
 近づいて行ってみると其処には滝が流れていた。
 周囲に白い霧を飛ばしながら止めどなく流れ出る水。
 飛び込んだ。魚になったようだ。
 体に命が戻ってくる。必死に水を飲み、体を潤した。
 (こんなところに・・・なんでだ?)
 頭は疑問を抱えているのに、体は水だけを欲している。
 水を飲み、安心したところで、どっと疲れが出てきた。
 腹は満たされなかったがそれなりに食べることは出来た。
 水を飲むことも出来た。
 私は何を考えることもなく、いつの間にか深い眠りについていた。

 足音がする。
 金色の眼が森の中からこちらを覗きこんだ。

 To the next time
 
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