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廻る、廻る、世界は廻る。クルリクルリと、狂り狂りと。
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 執事は言った
 「お嬢様 朝食の支度が出来ております」
 
 私は貴族に生まれ 貴族として振る舞ってきた
 私はよく色々と考える
 同じ人間なのに何故貧民から貴族までの差が出来てしまうのか
 それを爺やに話したこともある
 返ってきた答えは
 "真理"
 「正しいことばかりがある世の中ではない
 間違いだらけの世の中 それもまた真理である」
 私にはよく意味が解らなかった
 どのような説明を聞こうとも私の意見は変わらなかった
 
 執事は言った
 「お嬢様 昼食の支度が出来ております」
 
 私はもうそんな時間か と思いながら椅子に座った
 鶏の丸焼きを見ながら考える
 この鶏にも同じ命があったのに何故私は生き彼、或いは彼女は死んでしまうのか
 それを婆やに話してみた
 返ってきた答えは
 "嘲笑"
 「たかが鶏一匹の命と貴女の命は釣り合いませんわよ
 貴女は我が家の宝 この鶏は家に仕える食料なんですから」
 私にはよく意味が解らなかった
 どのような説明を聞こうとも私の意見は変わらなかった

 執事は言った
 「お嬢様 夕食の支度が出来ております」

 私は眠かったが あぁ と答えて部屋を出た
 辺りを照らす蝋燭を見ながら考える
 この蝋燭一本を造るのにどれだけの人が関わったのだろう
 原料を採りに行く人、それを加工する人、それを売る人、買う人、もっと沢山の人がこの蝋燭一本に関わっているのかもしれない
 だがその蝋燭は大した活躍もせずに一時辺りを照らし、溶けて消えて行く
 それを執事に話してみた
 返ってきた答えは
 "循環"
 「確かに沢山の人が関わって造ってそれが今 お嬢様の元へあります
 ですがお嬢様もそれ相応の代金を支払っておられるのです
 そのお金は造ってきた人達にも行き渡ります
 そのお金を使ってまた蝋燭は造られるのです
 世の中は大きなサイクルなのですよ
 お嬢様もその一員なのです」
 私はしっかりと納得した
 そして 新たな疑問が浮かんだ

 「執事 お前は爺やや婆やよりもよく物事を解っている
 なのに何故お前は執事なんだ」
 執事は困った顔をした
 「それは私がこの家に仕えているからでございます
 私の知識や力量はこの家やお嬢様の為にあるのです」
 私はやっぱり解らなかった
 執事は微笑んで
 「今はまだ知らなくても良いことでは無いでしょうか」
 とだけ言った





 初めはこれが"血染めのテーブルクロス"になる予定だったんですが・・・。
 ま、いっか★

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HN:
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年齢:
32
性別:
男性
誕生日:
1992/04/28
職業:
中学生
趣味:
バンド活動
自己紹介:
音楽:
BUMP OF CHICKEN,
ASIAN KUNG-FU GENERATION,
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書物:
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